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すぐ届く度数と、何週間も待つ度数があるのはなぜ?

2026.11.04
すぐ届く度数と、何週間も待つ度数があるのはなぜ?

同じブランドの同じレンズを探したのに、すぐ受け取れる人もいれば、何週間か待つように言われる人もいます。箱のサイズも包装もまったく同じに見えます。違うのは数字がいくつかだけなのに、なぜこんな差が生まれるのでしょうか。

コンタクトレンズは度数の組み合わせ一つひとつが別の製品で、組み合わせが掛け算で増えるため、すべてのマスを同じようにすぐ出荷できる状態でそろえておくのは難しいのです。

今回は、どこかの販売店の事情ではなく、業界の一般的な構造を扱います。メーカーが公開している製品の範囲を使って、実際に計算してみましょう。ここでいうマスとは作ることができる規格の種類の数を指し、実際に積まれている在庫量ではありません。

1つの度数が1つの製品

近視用レンズから数えてみましょう。ジョンソン・エンド・ジョンソンの2026年カナダ版技術仕様表では、あるワンデーレンズ(ACUVUE OASYS 1-Day)の近視側の度数は−0.50から−12.00までです。公開資料が具体的なので例に使うだけで、特定の製品をすすめるものではありません。

−6.00までは0.25刻み、その先は0.50刻みなので、合計35マスです。ベースカーブが8.5と9.0の2種類あるので、掛けると70マスになります。これはまだプラス度数を入れていない計算です。

マスごとに互いの代わりにならないことが出発点です。−3.00の箱がどれだけあっても、−3.25を処方された人には合いません。左右の度数が違う人には、2つのマスが同時に必要です。左右の差については右目と左目で、コンタクトレンズの度数が違うのはなぜ?で紹介しました。

乱視が付くと掛け算が始まる

同じ表のワンデー乱視用レンズ(ACUVUE OASYS 1-Day for ASTIGMATISM)を見ると、規模が変わります。ベースカーブは8.5の1つだけなのに、です。

近視の度数1マスに乱視の強さが付き、その強さごとに向きを示す軸が付きます。0.00から−6.00までだけでも度数は25マスで、マスごとに乱視と軸の組み合わせが64通りずつ付いて1,600マスになります。強い近視とプラス度数の範囲まで加えると2,260マスです。

近視側だけを並べると、先ほどのレンズが70マス、乱視用レンズが1,780マスで、約25倍です。書くべき数字は2つ増えただけなのに、結果は足し算ではなく掛け算で大きくなります。

トレーから白い箱を1つ取り出す手
トレーから白い箱を1つ取り出す手 · AI生成画像

箱のサイズまで数えると、マスはさらに増える

この乱視用レンズは30枚と90枚の箱で展開され、プラス度数は30枚の箱だけです。箱のサイズまで区別すると、30枚の箱が2,260種類、90枚の箱が1,780種類で、合計4,040種類です。

他のメーカーも規模は同じくらいか、さらに大きなものです。CooperVisionの2021年の発表は、ある1か月用の乱視用レンズが3万3,000近い規格で展開されていると明らかにしました。球面+8.00~−10.00、軸10度刻みの製品です。

老眼の矯正が加わると、項目がもう1つ掛け算されます。同じ会社の2023年の記事は、乱視と老眼を一緒に矯正するあるレンズの規格が20万を超えると書いています。球面、乱視、軸、近くを見るための度数の組み合わせを数えた会社の資料です。数え方が製品ごとに同じとは言えないので、規模をつかむための数字として読んでください。

よくある度数と珍しい度数は、どれほど違う?

マスが多いからといって、探す人が均等に分かれているわけではありません。眼鏡の処方11,624件を分析した2011年の論文によると、乱視が0.75ディオプター以上の目は35.7%でした。1.00以上は23.4%、1.50以上は10.8%、2.00以上は5.6%と急速に減っていきました。

同じ論文は、球面+6.00~−9.00、乱視3種類、軸18個の範囲にすると規格が3,000近く必要で、その範囲で乱視のある人の90%をカバーできると推定しました。残りの人をカバーするには範囲をさらに広げる必要がありますが、端に行くほど1マスを探す人は少なくなります。

メーカーの表にもこの形が見えます。先ほどの乱視用レンズは、−6.50以上の強い近視とプラス度数で、軸を10、20、70、80、90、100、110、160、170、180に絞っています。水平と垂直に近い向きだけを残した形です。絞った理由は表に書かれていません。

すぐ出荷できるマスと、注文を受けて作るマス

The Cooper Companiesの2022会計年度年次報告書は、大量、中量、少量のレンズをすべて生産していると述べ、強度乱視用のカスタムレンズを例に挙げています。先の2021年の発表には、範囲の広い乱視用レンズが受注生産のレンズと書かれています。手で削るという意味ではありません。その製品も型で成形する方式だと書かれています。レンズを作る過程そのものはコンタクトレンズはなぜこんなに高いのかで見ることができます。

かかる時間は、工場がどこにあるかによっても左右されます。2023年の記事によると、ある受注生産レンズは北米向け注文の生産地を英国から米国ニューヨークに移したあと、配送時間が半分以上短くなり、平均7日になりました。逆算すると、以前は平均2週間を超えていたことになります。他の地域の注文は引き続き英国の工場で作ると書かれています。

この7日は1つの製品、1つの地域の例であり、業界全体の平均を示すものではありません。「何週間」は決まったルールではなく、製品、注文地域、生産地によって変わる結果と見るほうが適切です。

配送用の箱と卓上カレンダーが置かれたカウンター
配送用の箱と卓上カレンダーが置かれたカウンター · AI生成画像

待つ間に確認すること

待つ必要があると言われても、目が特殊だという意味ではありません。マスが多い構造から生じることです。近い度数や別の軸がすぐ手に入るとしても、自分で変える問題ではありません。度数と軸を変える判断は処方した専門家の役割で、不快感があったり見え方が変わったりしたら、眼科や検眼の専門家に確認するのがよいでしょう。

次にレンズの箱を見るときは、側面の数字の欄を数えてみてください。球面、乱視、軸、ベースカーブがすべて書かれていれば、その箱は数千のマスのうちの1つです。