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冬になると、コンタクトの目がより乾くのはなぜ?

2026.11.05
冬になると、コンタクトの目がより乾くのはなぜ?

冷たい風に当たったあと室内に入ると、まず顔の緊張がほどけます。コートを脱いで暖房の効いた部屋に座り、1~2時間たつと、今度はレンズをつけた目がだんだん乾いてゴロゴロしてきます。夏は同じレンズを同じ時間つけても平気だった気がするのに、冬はなぜ変わるのでしょうか。

冬の室内は水蒸気の少ない冷たい空気を暖めて使うので相対湿度が下がりやすく、レンズの上の薄い涙の層は、そうした空気の中でより薄くなりやすいとみられます。レンズが急に変わったというより、レンズを取り巻く空気が変わったのです。

1日のうち午後に目が乾く過程は午後の乾きの記事で、飛行機の客室は長距離フライトの記事で紹介しました。今回は、季節が変わるときに室内の空気に起きる変化と、その空気がレンズの上の涙に与える影響だけを見ていきます。

冷たい空気を暖めると、なぜ湿度が下がる?

米国サウスダコタ州立大学の湿度に関する案内資料は、冬の屋外の空気は冷たくて水分を比較的少ししか含んでおらず、この空気が家庭の暖房装置を通ると相対湿度が非常に低くなると説明しています。1979年の資料ですが、説明している原理は今も同じです。

相対湿度は、その温度の空気が含むことのできる水蒸気のうち、実際にどれだけ入っているかを示す割合です。空気を暖めると含める量は増えますが、水蒸気を別に加えない限り実際の量はそのままです。分母だけが大きくなるので、割合は下がります。屋外に雪が降る日でも部屋の中が潤わないのは、このためです。

湿度の数%の差は目に感じられる?

涙と目の表面を研究する団体TFOSが2023年に出した環境条件の報告書には、オフィスで働く人を対象にした研究が出てきます。室内湿度が30~40%の環境で働いたときは、自然な状態の湿度20~30%のときより、目の乾燥感、刺激、かゆみのスコアが低かったという内容です。

同じ報告書は、気温を21度に固定して湿度を40%から5%に下げた実験も紹介しています。健康な参加者の症状は強くなり、涙が保たれる時間などの検査値も悪化しました。

5%は研究のために作った極端な条件なので、普通の冬の部屋をそのまま再現した結果ではありません。ただ、空気が変わると涙も実際に変わることを示しています。

冬の部屋のベッド脇のテーブルで蒸気を出す加湿器
冬の部屋のベッド脇のテーブルで蒸気を出す加湿器 · AI生成画像

レンズをつけると、涙は前後に分かれる

涙の膜は、目の表面を覆うごく薄い液体の層です。2013年のTFOSコンタクトレンズ不快感報告書によると、レンズをつけるとこの膜はレンズの前側の層と後ろ側の層に分かれます。空気に接する前側の層は、通常の涙の膜より油の層が薄く、涙の量が少なく、蒸発が速いのです。

油の層は、水が蒸発するのを遅らせるふたのような役割をします。そのふたが薄くなった状態で乾いた空気に触れることになります。レンズをつけていない目より、最初から余裕が少ないと言えます。

報告書は、多くの場合に湿度30%未満を「低湿度」とした複数の実験をまとめ、こうした条件がレンズの不快感とはっきり結びつくという根拠が積み重なっていると整理しています。

実験室で冬の空気を作ってみると

2004年に発表された実験は、ソフトレンズを毎日つける男性11人を、温度と湿度を調節できる部屋で試験しました。条件は5度・10%、15度・20%、25度・40%、35度・50%の4つでした。

温度と湿度が下がるほどレンズの上の涙の層は薄くなり、涙の層が壊れるまでの時間は短くなり、乾燥感のスコアは上がりました。一方、目にたまった涙の量を示す指標は変わりませんでした。涙が足りなくなったというより、レンズの上で保ちにくくなったと考えるほうが近いでしょう。

レンズを外した目では、涙の層が壊れるまでの時間は大きく変わりませんでした。乾燥感はレンズがなくても上がりました。ただし人数が少なく、温度と湿度を同時に変えたため、どちらが原因かは切り分けられません。TFOSの報告書も、湿度を固定して温度だけを変えた、よく管理された研究はないようだと記しています。

レンズの中の水が抜けているのか

「レンズが乾いた」という表現は自然ですが、実際の過程は少し違うかもしれません。TFOSの報告書は、極端に低い湿度と温度でもハイドロゲルレンズ全体の水分の損失は影響を受けなかったという研究を紹介し、表面の蒸発と涙の層が薄くなる現象を可能性のある原因として挙げています。

素材による違いはあります。同じ報告書の別の章は、実験室の研究で含水率の低いレンズは高いレンズより水分を失いにくかったと記しています。表面の蒸発は一部の領域で起きるため、レンズ全体の水分量の変化としては小さく現れることがあるという説明も添えています。

レンズの水分の減少と不快感の関係も、研究によって一貫した結果が出ているわけではありません。冬の乾燥感を、レンズの中の水が減ったこと一つで説明するのは難しいでしょう。

霜の付いた窓辺で温かいカップを包む両手
霜の付いた窓辺で温かいカップを包む両手 · AI生成画像

本当に冬に多いのか

米国の退役軍人の眼科診療記録5年分を分析した研究では、ドライアイの診断割合は冬18.7%、春18.5%、夏15.3%でした。冬が高いのは確かですが、春もほぼ同じでした。

著者らは、暖房で室内の湿度が下がることを冬に高い理由の一つに挙げながら、これは仮説だと明言しています。室内の湿度を直接測った研究ではなく、対象は米国の退役軍人で、レンズ装着者だけを分けて見たものでもありません。

TFOSの2013年の報告書も、砂漠や極地のような乾燥した気候でレンズの不快感が増えることは臨床ではよく知られているものの、屋外できちんと管理して確かめた研究はないと記しています。

冬の部屋で見直せること

TFOSの2013年の報告書は、風や空気の流れも目の表面の蒸発を増やす要因に挙げています。温風ヒーターや車の暖房の風が顔に直接当たる席なら、向きを変えてみるのもよいでしょう。退役軍人の研究の著者らは、室内の加湿器も検討すべき環境対策の一つに挙げています。加湿器を使うなら、製品の案内どおりに水タンクを管理する必要があります。

こうした方法が、誰の目にも同じ結果をもたらすわけではありません。ゴロゴロ感が続いたり、痛み、強い充血、見え方の変化があったりする場合は、レンズを外して眼科や検眼の専門家に確認するのがよいでしょう。

次に暖房の効いた部屋で目がゴロゴロしてきたら、レンズの箱より先に部屋の湿度計を一度見てください。湿度計がなければ、暖かい風がどこへ向かっているか手をかざしてみるのもよいでしょう。同じレンズが季節によって違って感じられる理由の一部は、目の前の空気にあります。