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乱視用レンズの箱にある「軸180」はどういう意味?

2026.11.03
乱視用レンズの箱にある「軸180」はどういう意味?

乱視用レンズの箱を回して見ると、度数の隣に180という数字があります。家族の箱には同じ場所に90と書かれています。数字が2倍だから、乱視も2倍なのでしょうか。それとも何かの単位が省略されているのでしょうか。

軸180は乱視の強さではなく向きを示す数字で、基準線が水平に置かれているという表示です。目の前に分度器を立て、その上の目盛りを1つ読むと考えると分かりやすくなります。

レンズが目の上で回らないようにする設計は乱視用レンズはなぜ目の上で回ってはいけないのかで紹介しました。今回は、この数字の書き方、つまり角度の表記法そのものだけを見ていきます。

180は強さではなく向き

処方の乱視の数字は、2つで1組です。円柱度数(CYL)は矯正の大きさ、軸(AXIS)はその矯正が置かれる向きです。米国アイオワ大学眼科の屈折検査の講義資料は、軸が円柱度数の向きを決めると説明し、乱視では2つの度数が常に互いに90度離れて置かれると記しています。

そのため軸が水平の180なら、乱視の矯正が加わるのはそれと直角の垂直方向です。数字の大きさは強弱とは関係ありません。180が90より強いわけでもありません。10と170は数字の差が160ですが、線として見れば水平線を挟んで20度しか離れていません。

処方箋の他の欄も一緒に見たい方は、1枚の処方箋に隠れた6つの暗号が参考になります。

分度器は目の前にどう置かれる?

この分度器には名前があります。カナダ・ケベック州言語局の用語辞典は、ドイツの機関の名称を略した「Tabo表記」を、現在最も広く使われている方式として紹介しています。国際規格ISO 8429も同じ座標を定めています。基準線は水平で、角度は反時計回りに大きくなり、90度が垂直です。この座標は、目の外側から顔に向き合った人の視点で決められています。

右目と左目に同じ座標を使う点も重要です。鼻側や耳側を基準に測る方式ではありません。アイオワ大学の資料も、両目とも患者の左側を0度とすると説明しています。

そのため軸45は、検査する人から見て右上に上がる線です。装着する本人の視点で思い浮かべると左右が逆になるので、箱の数字だけを見て頭の中で向きを考えると混乱しやすくなります。

指先にのせたソフトレンズの例
指先にのせたソフトレンズの例 · AI生成画像

なぜ360ではなく180まで?

時計の針は12時と6時で違います。先端が一方を指しているからです。軸は矢印ではなく直線です。直線は半回転すると元と同じ姿になるので、180度の中ですべての向きを表せます。

規格もこの違いを分けています。ISO 8429は、乱視の軸を0度から180度の間の数字で、プリズムの基底方向を0度から360度の間の数字で書くよう定めています。プリズムは厚いほうがどこを向いているかに意味があるため、矢印のように1周分が必要です。

180と0は同じ線なのに、なぜ180?

水平線の右端を0、左端を180と呼ぶことはできますが、この2つは同じ線です。アイオワ大学の資料も水平方向を「0と180の軸」と呼んでいます。そして矯正の向きが水平なら、000ではなく180と記録すると明記しています。

規格の範囲には0も含まれているので、文面だけを見ると少し食い違っているように見えます。規格は数字の範囲を定め、講義資料は水平を実際にどう記録するかを教えていると読むことができます。なぜ0ではなく180を使うようになったのかまで説明した資料は、なかなか見つかりません。

数字の後に度の記号がないのはなぜ?

処方の記録では、軸はxの後ろの最後の数字です。アイオワ大学の資料の例も078、005のように数字だけを書き、12ではなく012のように3桁で書くよう案内しています。

記号を省くのは慣行であって、規則ではありません。先ほどの規格の文面は0°、180°のように記号をそのまま使っており、なぜ処方の記録で記号を省くようになったのかを公式に説明した文書もなかなか見つかりません。

参考になりそうな例は、医療記録の分野にあります。米国ISMPの誤りを招きやすい表記のリストは、時間を表す°の記号が0と誤読されるおそれがあるとして、q2°がq20と読まれる例を挙げています。薬の処方の記録に関する内容なので、レンズの軸にそのまま適用される規定ではありません。ただ、小さな丸一つが数字のように読まれかねないという危険は示しています。

検眼機器で目を検査する場面
検眼機器で目を検査する場面 · AI生成画像

なぜ10度刻みが多い?

2006年のContact Lens Spectrumの記事は、使い捨てのソフト乱視用レンズの大半が10度刻みの軸で展開されていると書いています。10、20、30と上がって180まで行くと18マスです。

なぜ10度なのかをメーカーが直接説明したものはなかなか見つかりませんが、許容される誤差の大きさに手がかりがあります。1996年の同じ雑誌の設計提案の記事は、乱視用レンズが10度ずれると円柱度数の3分の1が残余乱視として現れ、ほとんどの人はそれを下回る範囲までは許容できると説明しています。筆者は、低い円柱度数は10度刻み、高い度数は5度刻みで作ることを提案しました。

マスの数も一緒に考えることができます。軸を5度刻みに狭めると18マスが36マスになり、他の規格が同じでも製品の種類は2倍になります。同じ記事は、直径の規格を1つにすれば在庫と生産の負担が減るとも書いています。

処方の軸と箱の軸が違うとき

眼鏡の処方の軸は、078、005のように1度単位でも書かれます。10度刻みのレンズには、その数字をそのまま移すことはできません。2006年の記事は、ソフト乱視用レンズは鼻側に5~10度回る傾向があり、10度刻みでしか注文できないので回転まで考慮する必要があると説明しています。

そのため箱の軸が処方箋や眼鏡の数字と違うことがあります。どの値が正しいかは目の上のレンズを見た専門家が判断することなので、数字が違って見えたら眼科や検眼の専門家に確認するのがよいでしょう。

次に箱を見るときは、軸の数字を指で描いてみてください。180なら水平に、90なら垂直に、残りはその間のどこかに引けばよいのです。大きさのように見えていた数字が、目の前の向きに変わります。